下記のpdfは、日本弁理士会の機関誌「月刊パテント」の2024年5月10日発行の第77巻、第6号のP.87-97に掲載されたものです。
日本弁理士会の2024年5月10日付け発行の機関誌「月刊パテント」に、弁理士の債務不履行責任に関する損害賠償額算定に係る考え方に関する論文を掲載いただいた。
弁理士サイドのミスによって、特許を消滅させてしまった等の債務不履行事件において、その損害賠償額に関する考え方について整理を行った。現状、国内外を問わず、この点について大きな誤解が存在している。
損害賠償額として、「特許の価値」あるいは特許技術が実施される「事業の価値」が、賠償額そのであると誤解されている傾向が散見される。賠償額とは、事件の発生を通して被害者に現に発生する損害の額であり、事件と相当因果関係にある範囲の金額をいう。特許の価値や事業価値そのものとは基本的に異なる概念であり、そうした事情を正確に理解することで、弁理士事務所経営の安定に資することを意図した論文である。